吸血少女はハニーブラッドをご所望です(コミカライズ原作です)

 全身黒づくめの格好で、深緋を舐めるようにジッと見ている。まるで悪夢を見ているかのようだ。ゾワッと頭のてっぺんからつま先まで総毛立つ。ガチガチと歯が震えた。

「寒い?」と尋ねられた。咄嗟には頭が働かず、「え」と言葉がこぼれる。状況を把握できない。

「その格好だと寒いかもしれないけど我慢して? どのみちあとで血を抜くからもっと寒くなるし。ね?」
「血を抜く……?」
「その方が綺麗に仕上がるから」
「な、にを……?」

 不意に自分の格好が気になった。自分が今椅子に座らされているのを理解する。自身を見下ろそうとするが、首がなにかにつっかえて上手くいかない。顎を引くのがやっとだ。

 突如として感じたのは激しい羞恥心。服を身につけていない下着姿だった。

 首と同様に手足も固定されている。丈夫な縄かなにかで、それぞれの手首、足首を椅子の脚に縛り付けられている。首も椅子の背面に固定されていた。一瞬で頭がパニックになった。

「いやぁっ! 今すぐこの縄を(ほど)いて!」

 できうる限りで暴れ、抵抗を試みる。首元にかかったチェーンのペンダントがシャラシャラと揺れた。「それはできないよ」と平然とした答えが返ってくる。

「ここは人里離れた山奥で、人家まで五キロもある。助けを呼んでもだれも来やしない」

 助け……?