鬱蒼と生い茂る木々に囲まれ、深緋は高い塀の向こうにある谷へ呼びかけた。かつて門となっていた鉄柵もあの頃のままで、赤茶色に錆びた鉄の棒を掴んでガタガタと揺すった。
「誰だい、騒々しい」
不機嫌を露わにした声にホッと胸を撫で下ろす。見覚えのある門番の女性が現れ、心底安堵していた。
「あの……! ご無沙汰しております、旧姓を朝比奈 深緋といいます。覚えていらっしゃらないかもしれませんが、十二年ほど前に、人間になる儀式でお世話になりました」
門番の女性は眉をひそめ「アサヒナ ミアカ」と呟き、ハッと目を見開いた。
「ああ、覚えているよ。同族ではなくなったアンタが今さら何の用だい?」
初めて会ったときと同様に、女性は五十代半ばの外見をしていた。あの頃の自分なら、この堂々とした風格に気圧され、身勝手な相談など持ち込めなかっただろう。
「村長の、楪 紫月さんに折りいってご相談したいことがあって参りました。一度電話をかけたのですが、繋がらなかったので直接出向きました。お願いです、急を要するお話なので、すぐにでも会わせていただけないでしょうか!?」
「……し、紫月様に?」
「はい! ご在宅でしょうか!?」
「誰だい、騒々しい」
不機嫌を露わにした声にホッと胸を撫で下ろす。見覚えのある門番の女性が現れ、心底安堵していた。
「あの……! ご無沙汰しております、旧姓を朝比奈 深緋といいます。覚えていらっしゃらないかもしれませんが、十二年ほど前に、人間になる儀式でお世話になりました」
門番の女性は眉をひそめ「アサヒナ ミアカ」と呟き、ハッと目を見開いた。
「ああ、覚えているよ。同族ではなくなったアンタが今さら何の用だい?」
初めて会ったときと同様に、女性は五十代半ばの外見をしていた。あの頃の自分なら、この堂々とした風格に気圧され、身勝手な相談など持ち込めなかっただろう。
「村長の、楪 紫月さんに折りいってご相談したいことがあって参りました。一度電話をかけたのですが、繋がらなかったので直接出向きました。お願いです、急を要するお話なので、すぐにでも会わせていただけないでしょうか!?」
「……し、紫月様に?」
「はい! ご在宅でしょうか!?」



