*
深緋はハンドルを握りしめながら交差点を左折し、かれこれ十数年ぶりに訪れる奥多摩駅へ向かっていた。
つい数分前に別れた娘のことを思い出す。弱々しく眉を下げながら、「早く帰ってきてね」と言う幼い声は若干涙交じりだった。
りり子が悲しむのは当然だ。今夜は大好きなパパが家を空け、ママと二人きりで過ごす予定だったのに、それすらもこちらの都合で変更となったのだから。娘のことを想うと、ただただ胸が痛んだ。
——「突然お伺いしてしまってすみません。無理を承知でお願いしたいのですが……明け方までりり子の面倒をみていただけませんか?」
自宅から車で十五分程度で着く義両親の元を訪れ、深緋は丁重に頼み込んだ。言うまでもなく、白翔の父母共に目を丸くし、突然外出しなければいけなくなった理由を尋ねた。
深緋は言葉に詰まり、真実を言い淀んだ。
娘を人質に取られているかもしれない、今後娘の人生を脅かす相手と話し合わなければいけない、だからといって無策で会える相手でもないので、先に対策を練る必要があるーーそういう込み入った事情を何ひとつ説明できずに、ごめんなさいと頭を下げてお願いした。
——「理由は明日、必ず話しますので」
深緋はハンドルを握りしめながら交差点を左折し、かれこれ十数年ぶりに訪れる奥多摩駅へ向かっていた。
つい数分前に別れた娘のことを思い出す。弱々しく眉を下げながら、「早く帰ってきてね」と言う幼い声は若干涙交じりだった。
りり子が悲しむのは当然だ。今夜は大好きなパパが家を空け、ママと二人きりで過ごす予定だったのに、それすらもこちらの都合で変更となったのだから。娘のことを想うと、ただただ胸が痛んだ。
——「突然お伺いしてしまってすみません。無理を承知でお願いしたいのですが……明け方までりり子の面倒をみていただけませんか?」
自宅から車で十五分程度で着く義両親の元を訪れ、深緋は丁重に頼み込んだ。言うまでもなく、白翔の父母共に目を丸くし、突然外出しなければいけなくなった理由を尋ねた。
深緋は言葉に詰まり、真実を言い淀んだ。
娘を人質に取られているかもしれない、今後娘の人生を脅かす相手と話し合わなければいけない、だからといって無策で会える相手でもないので、先に対策を練る必要があるーーそういう込み入った事情を何ひとつ説明できずに、ごめんなさいと頭を下げてお願いした。
——「理由は明日、必ず話しますので」



