吸血少女はハニーブラッドをご所望です(コミカライズ原作です)

 織田は確実に白翔を殺す。かもしれない、などという不確かなものではなく、確実に命を奪う。殺人を犯すことに躊躇いなどないのだから当然そうする。

 あの頃、私から白翔を奪わなかったのは、吸血鬼の情報を共有したかったからで、私を敵に回したくなかったから。もっと言えば私の純血を欲しがっていたから。既に、人間に生まれ変わった私からは、なにも得るものが無い。なのに……。

 なにを考えているんだろう? りり子を実験材料にして、遊んでる?

 スマホのホーム画面を見つめ、インターネットで検索をかけた。閲覧履歴の多い順から記事が並んで、その一つを開く。「ああ」と嘆きにも似たため息がこぼれた。今夜は満月だ。これは偶然なんだろうか。

 満月の夜にドラキュラに会うだなんて、危険極まりない行為だけど。今日いっとき難を逃れたとしても、りり子への懸念は消せないし、織田との会合を先延ばしにすれば、次はりり子本人を(さら)うかもしれない。

 こうしちゃいられない……!

 再び時間を見てスマホのタップとスクロールを繰り返した。往路と復路にかかる時間を計算し、ぎりぎり間に合うのを確認する。急いで外出するための荷物をまとめてから、リビングでくつろぐ娘に声をかけた。

「りりちゃん。これからママとおばあちゃんの家に行こうか?」