吸血少女はハニーブラッドをご所望です(コミカライズ原作です)

 いつまでも手紙を受け取らずにいると、織田は再び娘に目をやり、「はい」と小さな手に渡していた。キョトンとした目を瞬き、「ママのお友達?」とりり子が首を傾げる。

「うん、そうだよ。ママとパパのお友達。同い年なんだ」

 嘘を教えているけれど、織田の外見は深緋と同じ二十九歳ぐらいに見える。あの頃で言えば、ひと回りほど歳上だったはずなのに。

 りり子はすっかり織田を信用し、「お兄ちゃんのお名前、なんていうの?」と尋ねている。

「りり子、帰ろう!」

 無理やり娘の手を引き、立ち止まる彼を追い越した。

「リリちゃん、またね?」と織田が娘に向かって手を振った。りり子はにこにこと笑い、「バイバーイ」と振り返していた。

 *

 自宅に帰り着くと、郵便ポストの中に全く同じ封筒が入っていた。手渡しでもらわずとも、既に受け取っていたことに重いため息がこぼれた。

 深緋と対照的に、りり子は上機嫌で好きなアニメの歌を口ずさみ、おやつのシュークリームを頬張っている。朝と同様にテレビアニメに夢中になっているので、手紙を確認するなら今だと思った。

 リビングのテーブルに置いた白い封筒が二通。中央に『朝比奈 深緋さま』と印刷されたラベルシールが貼ってある。結婚して姓が大路に変わったのになぜ旧姓なのかと思ってしまう。深緋はハサミを取り、手紙を二通とも開封した。