吸血少女はハニーブラッドをご所望です(コミカライズ原作です)

 深緋が人間に生まれ変わってから、丸十二年の月日が流れていた。

 深緋と白翔は高校を卒業し、その足で白翔の両親の元へ、挨拶に伺った。結婚したいという意思を二人で伝えると、彼らはとても驚いていた。当時はまだ十八歳だったので、当然だ。

 それでも、身寄りのない深緋の事情を考慮し、白翔の両親は温かく受け入れてくれた。婚約という形で許しを得られた。

 すぐに入籍しなかったのは、二人の進路が大学に進学すると決まっていたからだ。彼氏というよりは、婚約者として白翔に接し、深緋は大学生活を満喫した。

 大学を卒業する間際になって、白翔の子供を(みごも)っていると気付いた。

 深緋は就職を諦め、白翔と晴れて入籍をした。夫となった白翔は、深緋とお腹の子を守るため、希望していたイベント制作会社に就職し、毎日の仕事に勤しんでいる。

 結婚一年目で、ようやく祖母との思い出の家を手放した。おそらく妊娠することがなければ、いつまでも住み続け、思い出に浸っていただろう。

 翌年の冬に娘を出産した。名前を美人な祖母から譲り受け、りり子と名付けた。大路りり子だ。

 愛する夫と愛娘との三人暮らし。幸せ過ぎるほど、平穏な毎日を送っている。

「おはようございます」

 幼稚園バスの添乗員さんに挨拶をして、りり子を無事に送り出す。