アップルパイの包みを折り畳む手が、ふと止まる。
「ほら、リリーさんが言ってたじゃん? 借家だけどもっと安い物件に引っ越すといいって」
「ああ……」
現実的な問題を思い、まぶたに重さを感じた。この家に越してからは、まだ一年ほどしか経っていないが。ここには祖母や英くんの思い出が染み付いている。広い一軒家なので毎月の家賃は嵩むが、まだこのままがいい。
「出られないよ」
畳んだ包みをゴミ箱に捨てて、冷蔵庫からトマトジュースを出し、グラスに注ぐ。白翔には烏龍茶を入れた。
「この家にはリリーさんと英くんの思い出が残ってるから。まだ暫くはこのままにする」
「そっか」
二つのグラスをローテーブルへ運んだ。白翔の隣りに再び腰を下ろし、グラスの淵に口を付ける。
赤くドロリとした酸味を味わい、横目で彼をチラ見する。白翔は「さんきゅ」と言って烏龍茶を飲んでいた。
普段から部活で鍛えた体躯や飲み下すたびに上下する喉仏を見て、言いようのない衝動に駆られた。胸の奥にポッと火が灯ったように、じわりとした熱が生まれる。
グラスを置いた彼が続けてポテトを摘もうとするので、その腕に触れて食べるのを止める。
「ん? なに?」
「ほら、リリーさんが言ってたじゃん? 借家だけどもっと安い物件に引っ越すといいって」
「ああ……」
現実的な問題を思い、まぶたに重さを感じた。この家に越してからは、まだ一年ほどしか経っていないが。ここには祖母や英くんの思い出が染み付いている。広い一軒家なので毎月の家賃は嵩むが、まだこのままがいい。
「出られないよ」
畳んだ包みをゴミ箱に捨てて、冷蔵庫からトマトジュースを出し、グラスに注ぐ。白翔には烏龍茶を入れた。
「この家にはリリーさんと英くんの思い出が残ってるから。まだ暫くはこのままにする」
「そっか」
二つのグラスをローテーブルへ運んだ。白翔の隣りに再び腰を下ろし、グラスの淵に口を付ける。
赤くドロリとした酸味を味わい、横目で彼をチラ見する。白翔は「さんきゅ」と言って烏龍茶を飲んでいた。
普段から部活で鍛えた体躯や飲み下すたびに上下する喉仏を見て、言いようのない衝動に駆られた。胸の奥にポッと火が灯ったように、じわりとした熱が生まれる。
グラスを置いた彼が続けてポテトを摘もうとするので、その腕に触れて食べるのを止める。
「ん? なに?」



