吸血少女はハニーブラッドをご所望です(コミカライズ原作です)

(ここ)では、一族のどちらかから神威の能力者が生まれているのだ。
 我が神威の力を譲り受けたのは、およそ八年前。それまでは、真楼一族のサトがこの谷を統治していた。ミアカの母親が谷へ訪れたのもその頃で……当時は随分と横暴が過ぎた。
 (おさ)であるサトは絶対的な存在で、彼奴(あやつ)に目を付けられた者は処罰の対象として命を落とすこともあった。
 無論、外から来る同族や、ましてや人間の男となると(むご)い扱いを受けるのは当たり前で……そういった行いが神の逆鱗に触れて、サトは神威の力を失った。そうして先代のサトは人知れず谷から消えたのだ」

 話を聞いていて、深緋は考えを巡らせた。いつかインターネットで、この女人谷のことを調べたことがあった。ブログ主のユズミーさんが書いた記事は、確か十年も前の内容だった。つまり、シヅキさんが神威となる前の話だ。

 シヅキさんの話は続く。

「サトを支持していたのが、昨夜亡くなったヤヒロで、彼奴(あやつ)は真楼一族の残党だ。ハクトの血を吸ったのも真楼の輩で、彼奴(あやつ)らは度々我に楯突いてくる。我のやり方が気に入らないから、だそうだが。我らは(ゆずりは)一族だからな。存在自体が疎ましいのだろう」

 深緋は眉を垂れ、曖昧な相槌を返すことしか出来なかった。どこにも深刻な事情があり、シヅキさんも苦労しているのだ。