「一つだけ、カムイさんに。さっき言った私の母のことで、お聞きしたいことがあるんです」
「何だ?」
彼女は脚を組み直し、眉を寄せた。隣りの白翔も同じような表情で深緋を見ている。
「今から五十六年ほど前に、私の母……いえ、両親もこの村へ来ているんです。母の名前を、朝比奈 美郷といいます。その頃私はまだ赤ん坊だったので、祖母に預けられたそうです。
母は合言葉を持たずに入村して、結果儀式を受けられずに、父も亡くなったそうです。
この村のしきたりだと思うので、責めているわけではないのですが……。カムイさんはそんな女性が来たことを覚えていますか?」
半世紀も昔の話になるので、覚えていないと言われる覚悟で、尋ねてみた。
「なるほど」と呟き、カムイさんは故人を悼むような、沈痛な面持ちで目を細めた。
「ミアカの母親は儀式を受ける絶対条件を満たさなかった上に、連れ合いを生贄として奪われた、そういう話だな」
「……はい」
「何だ?」
彼女は脚を組み直し、眉を寄せた。隣りの白翔も同じような表情で深緋を見ている。
「今から五十六年ほど前に、私の母……いえ、両親もこの村へ来ているんです。母の名前を、朝比奈 美郷といいます。その頃私はまだ赤ん坊だったので、祖母に預けられたそうです。
母は合言葉を持たずに入村して、結果儀式を受けられずに、父も亡くなったそうです。
この村のしきたりだと思うので、責めているわけではないのですが……。カムイさんはそんな女性が来たことを覚えていますか?」
半世紀も昔の話になるので、覚えていないと言われる覚悟で、尋ねてみた。
「なるほど」と呟き、カムイさんは故人を悼むような、沈痛な面持ちで目を細めた。
「ミアカの母親は儀式を受ける絶対条件を満たさなかった上に、連れ合いを生贄として奪われた、そういう話だな」
「……はい」



