谷で二人の女性が殺害されたのだから、警察を介入させて、逮捕して貰えば良いのかもしれないが。これにはカムイさんを始め、側近の彼女らも強く反対を示した。
村の存在が明るみに出ると、存続の危機に陥るのだそうで、深緋たち部外者が立ち入ることではないと思った。
「隣りの部屋はあの惨状だからな。今夜はこの部屋を使うと良い」
村本館の玄関を上がり、だれかの寝床と思しき部屋へ案内された。「いいんですか?」と尋ねると「構わぬ」と返ってくる。
「部屋の女には別の場所で休んでもらう。明朝、また声を掛ける」
お休みなさい、と一礼し、彼女たちを見送った。今夜は儀式だけに留まらず、織田の一件でどっと疲れが増した。
二人だけになった部屋で暫く沈黙する。深緋は未だに、儀式のためのワンピース姿だったため、部屋に備え付いた手洗い場で着替えを済ませた。
人間に生まれ変われたという喜びは過ぎ去り、つい織田のことを考えてしまう。それだけで憂鬱に支配された。
白翔と明日の予定をポツポツと話し合うのみで、それぞれがベッドとソファーに分かれて横になった。
碌に眠れる気配もなく、その日は白翔と同じ部屋で夜を明かした。
***
村の存在が明るみに出ると、存続の危機に陥るのだそうで、深緋たち部外者が立ち入ることではないと思った。
「隣りの部屋はあの惨状だからな。今夜はこの部屋を使うと良い」
村本館の玄関を上がり、だれかの寝床と思しき部屋へ案内された。「いいんですか?」と尋ねると「構わぬ」と返ってくる。
「部屋の女には別の場所で休んでもらう。明朝、また声を掛ける」
お休みなさい、と一礼し、彼女たちを見送った。今夜は儀式だけに留まらず、織田の一件でどっと疲れが増した。
二人だけになった部屋で暫く沈黙する。深緋は未だに、儀式のためのワンピース姿だったため、部屋に備え付いた手洗い場で着替えを済ませた。
人間に生まれ変われたという喜びは過ぎ去り、つい織田のことを考えてしまう。それだけで憂鬱に支配された。
白翔と明日の予定をポツポツと話し合うのみで、それぞれがベッドとソファーに分かれて横になった。
碌に眠れる気配もなく、その日は白翔と同じ部屋で夜を明かした。
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