吸血少女はハニーブラッドをご所望です(コミカライズ原作です)

「零時ちょうどになれば、人血転生(じんけつてんしょう)の儀を行う。十分少々で終わるが、今宵一度限りの儀式ゆえ、やり直しは効かぬ。中断するようなことが有ればまたひと月待つより他はない」
「……はい」
「ミアカはその窪地に立ち、我が与えるものを全て飲み干せ。女たちが順に運ぶ(ます)を取り落としてはならぬ。そして儀式が終わるまではひと言も声を発してはならぬぞ?」
「わ、わかりました」

 肩に掛けたアウターをギュッと握りしめた。隣りに立つ白翔を見ると、彼も緊張しているのか表情が固い。

 カムイさんは祭壇の前に立ち、(たもと)に手を入れた。そこから金の懐中時計を取り出す。

「あと五分で開始する。窪地に入り、時が満ちるのを待て」

 深緋はアウターを取り、白翔に手渡した。彼は口を引き結び、真摯な目を向ける。大丈夫、とその瞳が物語っていた。

 スゥ、と深呼吸をして夜気を肺に送り込んだ。意を決して窪地へと足を踏み入れる。

 半袖の腕に寒さを感じるが、満月のまばゆい光が全身を包み込み、体の奥から徐々に熱が生まれる。

 頭のてっぺんから爪先まで、無数に張り巡らされた血管が呼応している。吸血鬼の血が、騒いでいる。

 カムイさんは時計の秒針に目を据え、一本の太いキャンドルに火を灯した。

「これより人血転生の儀を行う」

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