吸血少女はハニーブラッドをご所望です(コミカライズ原作です)

「お茶?」

 白翔が目を丸くして尋ねる。

「ただの茶ではない。これは体内に摂取されることで効果を発揮する」

 効果。すなわち、吸血避けの。そんなものが存在するのかと感心するばかりだ。

「言ってみれば蚊取り線香のようなものだ。体内より発せられる匂いで女たちから吸血の欲を断つ」

 そう説明が為されるものの、いまいち釈然としない。初めて白翔と来たときには無かったからだ。そんな便利なお茶が有るのなら、初対面から出されていてもいいはずだが……。

 深緋は幾らか眉を潜め、カムイさんの表情を窺った。依然として無表情で口を結んでいる。

 白翔が先に湯呑みを手にして、躊躇いもなく口を付けた。ぐびっと飲み干す彼を見て、織田も渋々ながら湯呑みを持ち上げる。お茶を飲むことに僅かな抵抗があるのか、顔をしかめている。

 しかしながら、躊躇いは数秒で彼も湯呑みに口を付けていた。理由はなんとなくわかってしまう。微かにだが、甘く(かぐわ)しい匂いが漂う、風味の良いお茶だ。

 何気なく正面に目を向け、息を呑んだ。それまで無表情を張り付けていたカムイさんの口元が、ほんの一瞬だけ、微かな笑みで歪んだ。

 *

「お時間となるまでこちらでお待ち下さい」

 外で待機していた女性に案内され、深緋たちは別室へ移動した。部屋に入ってすぐ、目を見張る。さっきまでいた殺風景な板の間が嘘みたいだ。