電車は順調に二人を運んだ。奥多摩へ到着すると、織田は先に来て待っていた。ホームの椅子に脚を組んで座り、スマホを触っている。
「やぁ、来たね?」
数日前、不意をついて吸血したことなどどこ吹く風で、織田は微笑を浮かべた。彼もそれなりに温かな装いをしていて、ハイネックのカットソーに薄手のマウンテンパーカーを合わせている。何となくだが、首を守っているように見えた。今から向かう場所が場所なので、彼なりに吸血避けをしているのかもしれない。
こんばんは、と一応の挨拶を返し、合流した。
駅舎から出て近くのコンビニで晩御飯に食べるお弁当やお茶、サンドイッチなどを買い込む。
夕方なので既に薄暗い。道路沿いを歩き、幾らか舗装された場所から山道へ足を踏み入れる。木々の影で一層暗さが増した。
持って来た懐中電灯で周辺を照らしながら、白翔と手を繋いで歩みを進める。ザッザッと踏み締める枯れ木や葉の音が少し離れて聞こえ、織田が順調に付いて来る。
歩いて一時間半もすると、辺りは暗闇に覆われた。時折、眩い月明かりが降ってきて、足の裏に浮力が加わる。
「満月は良いねぇ」と織田が独りごちた。深緋と同様に、その恩恵に与っていることを示唆しているのだ。
今夜の月は中秋の名月。もうそろそろ完全に満ちて大潮になる時間帯だ。
「やぁ、来たね?」
数日前、不意をついて吸血したことなどどこ吹く風で、織田は微笑を浮かべた。彼もそれなりに温かな装いをしていて、ハイネックのカットソーに薄手のマウンテンパーカーを合わせている。何となくだが、首を守っているように見えた。今から向かう場所が場所なので、彼なりに吸血避けをしているのかもしれない。
こんばんは、と一応の挨拶を返し、合流した。
駅舎から出て近くのコンビニで晩御飯に食べるお弁当やお茶、サンドイッチなどを買い込む。
夕方なので既に薄暗い。道路沿いを歩き、幾らか舗装された場所から山道へ足を踏み入れる。木々の影で一層暗さが増した。
持って来た懐中電灯で周辺を照らしながら、白翔と手を繋いで歩みを進める。ザッザッと踏み締める枯れ木や葉の音が少し離れて聞こえ、織田が順調に付いて来る。
歩いて一時間半もすると、辺りは暗闇に覆われた。時折、眩い月明かりが降ってきて、足の裏に浮力が加わる。
「満月は良いねぇ」と織田が独りごちた。深緋と同様に、その恩恵に与っていることを示唆しているのだ。
今夜の月は中秋の名月。もうそろそろ完全に満ちて大潮になる時間帯だ。



