吸血少女はハニーブラッドをご所望です(コミカライズ原作です)

『たとえ危険と言えども、我らにとっては栄養源。それなりの対策は講じておく』
「対策、ですか?」
『そうだ。村の古い文献にドラキュラ封じ(・・・・・・・)について記した書物があってな……当日其奴が悪さを働かぬよう、先に手を打っておく。
 それに、村の女たちはおまえが思うほどやわでは無い。ドラキュラが妙な真似をすれば返り討ちにするぐらいの気概は持っておる』
「……そう、ですか」

 思わず肩の荷が下りたように、ホッと息をついていた。闇夜に灯火を得た思いだ。

『では二十九日(当日)は三人で来る、それで良いな?』
「はい。そちらへ着くのはおそらく夜になると思いますが、よろしくお願いします」

 スマホを握りしめながら深々とお辞儀をし、「失礼します」と言い添えて電話を切った。

 儀式を受けるために女人谷へ行くのは五日後だ。既に赤丸を付けたカレンダーから視線を逸らし、深緋はデスクに置いた写真立てに目を据えた。

 自然体で写った祖母と英くんの写真だ。

 皮肉にも、織田が隠し撮りをしたお陰でこうして二人の写真を飾れている。英くんはどうか知らないが、祖母は一枚の写真も残さないで消えた。

 今日で祖母の体は百歳を超える。最後に公園で会った彼女を思い出し、目頭がジンと熱を帯びた。