吸血少女はハニーブラッドをご所望です(コミカライズ原作です)

 母親はこの人だと教えられ、形見のロケットペンダントを渡された。

 写真の中の母がどうして亡くなったのか、事情ははぐらかされたけれど、その日から彼女は深緋の祖母だと認識するようになった。

『深緋は吸血を怠らなければ高校生でいられるんだ。だから全国津々浦々の学校を制覇すればいい。学校から学べるのは勉強だけじゃないからね』

 一度目の高校を卒業して二年ほど働いたあと、祖母が深緋に掛けた言葉だ。

 深緋が社会の荒波にもまれて退職したことと、外見が若すぎることが原因だった。

 そのときから学生生活を繰り返すようになった。

『お金のことは心配しなくていいよ』。そうも言ってくれた。

 今思えば、祖母は深緋の幸せがなんなのか、どこにあるのかを模索しろと、暗に示していたのかもしれない。

 祖母はきっと、自分以外の誰かのために今までを生きてきたのだと思う。

 そんな彼女が英くんと出会うことで、自分の幸せを見つけられたのだとしたら……ここで横槍を入れるわけにはいかない。

 リリーさんの望み(・・)を、私のわがままで邪魔しちゃいけないんだ。私こそ、リリーさんの幸せを願うべき……。

 嗚咽を漏らしながら、頬を濡らす涙を拭う。深緋は白翔と来た道を戻ることにした。