翌々日の早朝。白翔と家の前で待ち合わせて、深緋は以前住んでいた東海地方へと足を運んだ。
スマホで調べた乗換案内の通りに電車や新幹線を乗り継ぎ、三時間ほどで見慣れた駅へと辿り着く。白翔は初めて来る他県にキョロキョロと首を振っていた。
駅舎を東口から出て、白翔の手を引いて歩き出す。二年ほど前の記憶なので、迷うこともない。
駅から歩いて数分で飲食店やクラブ、その他遊興施設が立ち並ぶ大通りへと出た。
営業時間を夜とした店舗が殆どなので様々な電飾を施した看板がそこここに見られる。これが夜になると中々に迫力がある。今はお昼前なので混雑を感じないが、夜は人通りと交通量が増す。
白翔は物珍しそうに目を動かし、旅行客丸出しの雰囲気を醸し出していた。
祖母が働いていたキャバクラ付近まで歩くと、不意にスカウトマンらしき男に声を掛けられた。
男は人気のガールズバーを斡旋しているらしく、試しに働いてみないかと執拗に誘ってくるが軽く無視を決め込んだ。空気か何かであるように、見えていない素振りをしないと、どこまでも付いてくると把握済みだ。
深緋はスマホの地図アプリを頼りに、あらかじめ検索しておいた公園を目指した。ちなみに、今日は鍔の広い帽子を被って来たので、日傘は無しだ。
「あ。あれだよな、公園」



