吸血少女はハニーブラッドをご所望です(コミカライズ原作です)

 居間のデジタル時計を一瞥する。六時だ。酒屋のお兄さんが来るのは八時頃だったはず。無言でタイムリミットを計算する。

 昨日の吸血時間が夜八時半を回っていたので、今日はその時間までに血を吸わなければいけない。さもないと十歳、歳を取る。

 十年老いて二十七歳になった自分は、外見で言えばそれなりに成熟しているので、気に入ってはいるのだが、その姿を維持できないため、上限姿(じょうげんし)である十七歳を保っている。

 二十四時間、吸血出来なければ十年老いて、四十八時間だと二十年老いてしまう。そして十年老いても二十年老いても、男から血を吸えれば元通りで、女の血だと意味をなさずに老いる一方なのだ。

 バスルームに向かって体を洗い、脱衣所で着替えを済ませた。棚に置いたカゴの中から細いチェーンに繋がれた真鍮のロケットペンダントを身につける。

 まだ他人(ひと)と会う予定があるので、普段はおろしっぱなしにしている黒髪を、高い位置でまとめて、緩めのおだんごにした。

 ひとまずスグルくんが支度してくれた晩ご飯を胃に入れ、時刻を確認した。スマホの液晶に浮かぶ数字が20時を数分過ぎてからインターホンが鳴った。

 今か今かと待ちわびた来訪者だ。スマホをポケットに仕舞い込み、玄関へ駆けつけた。
 そして落胆した。