吸血少女はハニーブラッドをご所望です(コミカライズ原作です)

 嘘だろう、と言いたげに織田が指を差し、次いで「ははっ」と声を上げる。なにがそんなに愉快なのか、こちらを馬鹿にするように笑っている。織田は片手で顔を覆ったままひとしきり笑い、「いやぁ、ごめんごめん」と続けた。

「これは俺にだけ現れた特性なんだね。俺さ、先月末から異様に耳も目も良くなったんだ。色々な音や声がストレスなく、それぞれクリアに聞き分けられる。数メートル離れた人物の顔かたちがハッキリと見える。
 だから今回、深緋ちゃんの行確はとっても楽だった。気づいてないと思うけど、深緋ちゃんの自宅の前にマンションあるでしょ? 三階建ての。あそこの一部屋を一ヶ月の契約で借りてるんだ」

 どこからか常に見張られているとは感じていたが。まさかそんな近所(ところ)から……。

「私に目星を付けたのは、なぜですか? 織田さんは自分の体質を不思議に思って原因を突き止めようとした……それでどうして私に行き着くんですか?」

 織田は手で顎を触り、うーんと言って目線を宙空に上げた。

 そうしてまた饒舌に語り始めた。今まで起きた苦労話を話すように、淡々と。