吸血少女はハニーブラッドをご所望です(コミカライズ原作です)

 この男は一体なにを考えているのだろう。さっきからフレンドリーな空気を身に纏っているが、雲のようにふわふわとして、まるで掴みどころがない。眉間をしかめながら、深緋は白翔の服の裾を掴んだ。体が未だに強張っている。

「どうして。私の身の回りの写真を撮ってたんですか? 私のことを……調べてたんですよね?」
「そうだよ」
「……なんで」
「俺は自分の身に起こったことを突き止めようとしただけだよ。俺をこの体質(・・)にした原因がなにかを探ってた。そうして深緋ちゃんに行き着いた」

 幾らか開いた距離を詰めるように、織田が数歩近づいた。

「単刀直入に言おうか。俺をドラキュラにしたのは深緋ちゃん、キミだよね?」
「……っは?」
「さっき明確な答えをもらえたから(・・・・・・・・・・・・)、わざわざしらばっくれる必要もないよ。キミは吸血鬼で、あの夜俺に近づいて、俺から血を吸った。けれど、血を吸われる前に俺がキミを刺した。間合いに入った深緋ちゃんの背中を、こうサクッとね。多分、いつ刺してやろうかってアイスピックを持ち歩いていただろうから、それで」

 通常なら覚えていないはずなのに。織田はあの夜の出来事をポンポンと言い当てる。その不気味さに鳥肌が止まらない。体が強張り、内臓が何かで圧迫されているような、息苦しさを覚える。