吸血少女はハニーブラッドをご所望です(コミカライズ原作です)

「なんでって……。まかり間違えて恋でもしてみな? その自覚もなく当たり前に飲んでしまっていたら、取り返しがつかなくなるよ」

 確かに……。深緋は神妙な顔で口を噤んだ。

「アタシが聞いた話によると、恋したら今まで飲めていた男の血が不味くなるらしいからねぇ。味覚が変わるって言うかね。
 で、意中の相手の血を数回飲んだだけで、それ以外の男からは吸血できなくなる。数回は二度なのか三度なのか、個人差があるらしい。だから注意が必要なんだよ」

 恋に落ちると、味覚が変わる?

 それは今まさに、自分に起こっている状況ではないか——深緋は昨夜飲んだ血の味を思い出し、不安に駆られた。

「し。心配しなくても、白翔は無いよ。同級生(こども)だもん」

 唇を尖らせる深緋を見て、祖母が嘆息する。

「まぁ、ペットの人材がどうであれ、ぼやぼやしてるとタイムリミットが来ちまうよ?」

「大丈夫」と言って、深緋はそばに置いた雑誌をめくる。

「深緋……。まさかスグルから血を貰おうって魂胆じゃないだろうね?」
「ち、違うよ。スグルくんはどうしてものピンチヒッターだけど、リリーさんのもの(・・)だから」

 若干ムキになって答えると、祖母はふいと視線をそらし「だと良いけど」と呟いた。

「……あらら、また見つかったんだねぇ」

 祖母が黒いリモコンでテレビを点け、話題を変える。テレビではちょうどニュースが報道されていた。