吸血少女はハニーブラッドをご所望です(コミカライズ原作です)

 織田から等間隔をあけて付いて行くと、十数分ほどで人気(ひとけ)のない路地裏へ辿り着いた。こんなところに自宅が? と怪訝に思いたくなるような場所だ。織田は明かりの灯らない雑居ビルの前で、ふと足を止めた。

「この辺でいっか」とだれに聞かせるでもなく、独りごちている。「もういいよ」と言って振り返る。

 だれかと待ち合わせでもしているのだろうか? 怪訝に眉を寄せながら深緋は息を凝らした。織田の目の前に一体だれが現れるのだろう。不審に思いつつ待つが、だれかが現れる気配などない。

「ああ、ごめんごめん。さすがに名指ししないとわからないよね」

 そう言って笑い、織田の視線がこちらに向けられる。ドキンと心臓が大きく脈を打つ。隣接した建物の陰に身を潜めながら、背に嫌な汗が浮かんだ。一緒にいる白翔も顔色を変え、焦っている。

 尾行がバレてる? そう思ってすぐ、また声を掛けられた。

「出てきていいよ、深緋ちゃん(・・・・・)!」

 びくんと肩が震えた。ざわざわとした不安と恐怖が足元を固め、まるで身動きができない。深緋は顔を蒼くしながら、石化した銅像のように立ち尽くしていた。

 やがて隣りに立つ白翔が動いた。ポンと深緋の肩に手を置き、深緋を置いて物陰から姿を見せる。織田はわざとらしく大きなため息で応えた。「彼氏くんに用はないんだけどな」と呟き、手で頭を触っている。