吸血少女はハニーブラッドをご所望です(コミカライズ原作です)

「正直言うとさ。合宿に行けなくて、かえって良かったなって思うんだ」

 白翔が呟くように言い、「なんで?」と首を傾げた。

「予定通り合宿に参加してたら……深緋がまたひとりで思い悩んでたんだろーなって思うから。俺だけ()け者にならなくて良かったなって」
「ふふっ、なにそれ」

 クスクスと肩を揺らすと、白翔が拗ねたように口を尖らせた。

「だっておまえ、言わねーじゃん。いつもひとりで問題抱えこんでダンマリでさ。これからは俺も隣りにいるんだから、いつでも頼れよな?」
「うんうん、わかったから」

 確かに、と思う。白翔が言う通り、深緋はこれまで周りに言えない悩みを抱えてばかりだった。今回の不審な手紙についても、ドラキュラ生成についても、進んで話そうという気にはならなかった。だからこそ、白翔の気持ちが嬉しい。

「ありがとうね」と口にすると、白翔が照れたように相槌を打った。

「私もひとつだけ。本当に良かったなって思うことがあるよ」
「……なに?」
「恋をしたのが……白翔で良かった」

 言いながら彼を見上げると、白翔は頬を赤く染めて俯いた。「うん」と頷き、少しだけ(はな)を啜っていた。