吸血少女はハニーブラッドをご所望です(コミカライズ原作です)

「とにかく。先に吸血を済ませな」
「……じゃあ、冷蔵庫から」
「なに言ってんだい、そこに本人がいるじゃないか」
「でも、白翔は病みあがりだから……」
「ひと口なら平気なんじゃないか? 顔色も良さそうだし。なぁ、ハクト?」
「はい、大丈夫です」

 白翔が深緋を見つめて微笑んだ。

「俺はもう大丈夫だから、我慢しなくていいよ。肉は大好物だからいっぱい食べるし。なんだったら週三でレバー出してもらって血の量増やすから。遠慮すんな」

 胸をポンと叩いて言い張る白翔に、「お、頼もしいじゃないか」と祖母が嬉々として答える。

「ありがとう」

 祖母の言葉に従い、リビングのソファーに白翔を座らせた。彼の滑らかな首筋に手を置き、カプ、と牙を立てる。珍しく飢餓状態だったが、数秒で唇を離し、極上のひと口を喉に流し込んだ。

 美味しい。

 窮屈だった胸が楽になったのを感じて、部屋の鏡へ視線を飛ばす。上限姿である十七歳の自分と目が合った。

 白翔を揺り起こし、「ひと口だけもらったよ」と告げる。彼は初めこそ記憶の消失に戸惑っていたが、それを埋めるための説明をすると「そっか」と頷き、安堵した。

 そして深緋の姿を見つめて顔を綻ばせた。「大人っぽいのも好きだけど。やっぱりこっちの方がしっくりくる」と言って、深緋を抱きしめた。

 家族の手前、少しだけ恥ずかしい気もしたけれど、深緋も彼を抱きしめる。白翔の愛情表現が素直に嬉しい、そう思っていた。