吸血少女はハニーブラッドをご所望です(コミカライズ原作です)

 素早くノートにメモするものの、最後の血に眉をひそめた。過去、有名な小説でドラキュラ伯爵という個人名が認知されているが、この場合それとはまた異なるのだろう。カムイさんの話は続く。

「人間の血はそこで眠る男のものが良いだろう。同族の血は対象者以外となるゆえ、村の女から戴こう。そしてドラキュラの血は……ミアカ、おまえが探して持ってくるしかない」
「あの。ドラキュラというのは」
「男の吸血鬼のことを、そう呼んでいる」

 私たちとは違う、男吸血鬼……。途端に前途が断たれたような、暗鬱とした不安が広がった。

「……あの。私は、生まれてから半世紀ほどしか生きていませんが。男吸血鬼には会ったことがありません。見たことも無いし、ずっと架空の者だと思っていました。本当に存在するんですか?」
「存在はする。けれど、彼奴(あやつ)らは我らのように不老長寿では無いゆえ、探すのは困難を極める」
「……そんな」

 深緋より、きっと何十年も生きているに違いないカムイさんが困難と言うほどだ。奇跡でも起こらない限り、その存在とは出会えないのだろう。深緋は俯き、肩を落とした。

「とは言えども。悲観する必要もない」
「え……」
「わざわざ探さずとも、おまえの血をもって作ればいい」
作る(・・)……そんなことが?」
「ああ。男なら誰でもいい。ミアカの血を一滴でも飲ませれば、およそひと月ほどで出来あがる」