廊下で控えていた女性を呼びつけ、手短かに用件を伝えると、また深緋に視線が戻ってくる。呼ばれた女性は再び廊下へ出て行った。
「調べの結果、おまえが処女だと証明された」
「……はい」
「我は村長のカムイだ。おまえは名をなんと申す?」
「朝比奈 深緋です」
「ミアカ、か。
して、ミアカはこの村の存在と合言葉をなにで知った?」
「……家族に、聞きました。人間になる方法があることと、この村の名前を教えてもらって、入るには合言葉が必要なのも」
「合言葉も、口頭で聞いたのか?」
そこで少しだけ言い淀む。不自然のないように「はい」と頷き返した。
「幼い頃に……母から」
嘘をついた。
「そうか」と相槌を打って、村長のカムイさんが穏やかに笑う。
嘘をついたのには理由があった。
この女人の谷について書かれたブログで、ある文章を思い出したのだ。『合言葉を記載することは禁止とされている』という文章を。
書き記すこと自体を禁止しているのなら、母が残した文書、つまり形見の写真を取り上げられるのではないかと危惧した。
スポーツTシャツの奥に仕舞ったペンダントが、胸元で揺れる。深緋は手の平で両膝をキュッと包み込んだ。
「調べの結果、おまえが処女だと証明された」
「……はい」
「我は村長のカムイだ。おまえは名をなんと申す?」
「朝比奈 深緋です」
「ミアカ、か。
して、ミアカはこの村の存在と合言葉をなにで知った?」
「……家族に、聞きました。人間になる方法があることと、この村の名前を教えてもらって、入るには合言葉が必要なのも」
「合言葉も、口頭で聞いたのか?」
そこで少しだけ言い淀む。不自然のないように「はい」と頷き返した。
「幼い頃に……母から」
嘘をついた。
「そうか」と相槌を打って、村長のカムイさんが穏やかに笑う。
嘘をついたのには理由があった。
この女人の谷について書かれたブログで、ある文章を思い出したのだ。『合言葉を記載することは禁止とされている』という文章を。
書き記すこと自体を禁止しているのなら、母が残した文書、つまり形見の写真を取り上げられるのではないかと危惧した。
スポーツTシャツの奥に仕舞ったペンダントが、胸元で揺れる。深緋は手の平で両膝をキュッと包み込んだ。



