舌舐めずりをする彼女に、背中がゾクッと粟立った。息を呑み込み、しまったと胸中で呟く。
白翔の存在に気づかれたら、それだけでアウトだ。入らなければ安全という保証はどこにもない。
「入りたいというのなら、合言葉を答えよ」
女性は深緋をジッと見据える。「合言葉って」と白翔が少し慌てている。
「合言葉を知らぬと言うのなら、その男一人で免除もできるが……?」
言いながら、女性は捕食対象を見る目つきで白翔を嫌らしく見てくる。
「いいえ。入るための合言葉は知っています。なので彼には何もしないと、ここで誓って下さい!」
「……あらそう。残念だねぇ。そういうことならまぁ良いだろう。……で。合言葉は?」
深緋は胸に手を当て、一度深呼吸をした。Tシャツ越しにある、ロケットペンダントに触れる。
状況を理解できず、白翔が深緋と柵の向こうの女性を交互に見ていた。
「“月夜に猫、谷に女帝”」
母が遺した文書をひと息に言うと、門番の女性はまたニヤリと笑い「良いだろう」と答えた。
ギギィ、と金属が擦れ合う音が鳴り、下から上に柵が持ち上がる。白翔がコソッと囁いた。
「なぁ、深緋。今の言葉、前にどっかで……」
「……シッ!」
白翔の存在に気づかれたら、それだけでアウトだ。入らなければ安全という保証はどこにもない。
「入りたいというのなら、合言葉を答えよ」
女性は深緋をジッと見据える。「合言葉って」と白翔が少し慌てている。
「合言葉を知らぬと言うのなら、その男一人で免除もできるが……?」
言いながら、女性は捕食対象を見る目つきで白翔を嫌らしく見てくる。
「いいえ。入るための合言葉は知っています。なので彼には何もしないと、ここで誓って下さい!」
「……あらそう。残念だねぇ。そういうことならまぁ良いだろう。……で。合言葉は?」
深緋は胸に手を当て、一度深呼吸をした。Tシャツ越しにある、ロケットペンダントに触れる。
状況を理解できず、白翔が深緋と柵の向こうの女性を交互に見ていた。
「“月夜に猫、谷に女帝”」
母が遺した文書をひと息に言うと、門番の女性はまたニヤリと笑い「良いだろう」と答えた。
ギギィ、と金属が擦れ合う音が鳴り、下から上に柵が持ち上がる。白翔がコソッと囁いた。
「なぁ、深緋。今の言葉、前にどっかで……」
「……シッ!」



