吸血少女はハニーブラッドをご所望です(コミカライズ原作です)

 白翔は。いつも強気で、自信満々に見えるけど……。多分、色々なことを我慢してる。我慢しながら折り合いをつけて、ああやって何でもないふうに笑うんだ。

 スゥっとその場で息を吸い込んだ。

「私はーっ! 白翔だけなんだよーっ!」

 普段の自分からは、全く想像もつかない行動だった。柄にもなく大声で叫ぶと、白翔がギョッとして振り返った。

「もう、白翔しか愛せないのーっ! 白翔はー?!」
「ちょ、」

 瞬時に顔を真っ赤に染めて、白翔が一度歩いた道を駆け足で戻って来る。

「そんな大声で恥ずかし、」
「死ぬまで一緒にいて欲しいって言ったら。やっぱり重い?」
「……深緋」
「私は白翔のこと、真剣に愛してる。だから不安になんてならないで?」

 赤くなった白翔の目が、少しだけ潤んだ気がした。

「……っうん」

 一つ、深く頷いた白翔を見て、そのまま抱きしめられた。

「全然っ、重くない。俺も死ぬまで一緒にいたい」
「そっか」

 白翔にとってそれは、永遠を誓い合う台詞にしか過ぎないだろう。

 けれど深緋が意図する所にはそんなロマンスなど存在しない。切実に、白翔ただ一人が必要なのだ。

「嬉しい」

 両手を上げて、深緋も彼を抱きしめた。

 道の往来で愛を叫び、恥ずかし気もなくハグするふたりは、他所(よそ)から見たらバカップルにしか見えないだろう。すれ違う通行人が、呆れた笑みを浮かべて通り過ぎた。