吸血少女はハニーブラッドをご所望です(コミカライズ原作です)

 自分が母の立場だとしたら、きっとタイムリミットが来る前に、二度と戻れない上限姿を写真に収めてから死ぬと思うから。

 空になったグラスをシンクに下げてから、また二階の自室にこもった。

 午前中に広げていた課題をデスクの脇に追いやり、隣りにある三段ボックスの上段から自分用のノートパソコンを取り出した。電源ボタンを長押しして立ち上がるのを待つ。

 わからない問題があるとき。大抵いつもこれで検索をかけるけど……果たしてヒットするだろうか?

 キーボード下部の中央を人差し指で撫で、インターネットに接続する。

 検索バナーに今し方聞いたワード、【女人の谷】と打ち込み、少し考えてから【願い】、【儀式】と言葉を追加した。

 ネットの中に情報が流れているかどうかは疑わしいが、母のようにその谷を訪れて、何かしらを残した同族がいるかもしれない。検索をかけると閲覧履歴の多い順から記事が並んだ。

 思えば人間になる方法があるなんて、考えてもみなかった。

 人間になれるのなら、なりたい。限りない若さより、大好きな人と一緒に年を重ねていく未来が欲しい。

 白翔に正体を告げることなく、人間になることが出来たら。彼を騙している罪悪感は、ゼロになるのかな。

 マウスをクリックしながら、ため息ばかりが宙に浮かぶ。

「どれも関係ないものばっか」

 検索結果は【女人】というワードや【儀式】というワードを拾って、山のパワースポットや神社での厄祓いの記事がヒットした。