祖母がメモと表現した理由は見てすぐに理解した。『女人谷』と書いた下に、最寄駅からどう歩くのかを記した文章が続き、『行くなら写真の裏の言葉が必要です』と書かれていた。
「写真の裏……」
思わず言葉がもれて、祖母が頷いた。
「“月夜に猫、谷に女帝”。美郷の字で小さくそう書いてある。見たことがあるかい?」
深緋はおずおずと顎を引き、「この間、学校で……」と曖昧に答えた。体育館倉庫にペンダントを隠されたとき、白翔が写真を拾って気づいた文書だ。
「アタシはさ。美郷が知らなかったのはコレなんじゃないかって思うんだ。わざわざ写真を撮って、あんたに形見として持たせるぐらいだ。
この文書を娘の深緋には知っていて欲しい、そう願って書いたんだろうね」
ひと通りを話し終えると、祖母はソファーから立ち上がった。「アタシが話せるのはここまでだよ」と言い残し、そっとリビングを出て行った。
ローテーブルに置いたままのグラスを手に取り、中身を全て飲み干した。祖母に渡されたメモ書きを茶封筒に仕舞い、深緋はペンダントの蓋を開けた。
お母さんが私に託した文書。お母さんの願い。
幸せそうでもあり、悲しそうでもある母の笑顔。最後に聞いた祖母の言葉通りだとすると、母がわざわざ写真を撮った理由も理解できる。
「写真の裏……」
思わず言葉がもれて、祖母が頷いた。
「“月夜に猫、谷に女帝”。美郷の字で小さくそう書いてある。見たことがあるかい?」
深緋はおずおずと顎を引き、「この間、学校で……」と曖昧に答えた。体育館倉庫にペンダントを隠されたとき、白翔が写真を拾って気づいた文書だ。
「アタシはさ。美郷が知らなかったのはコレなんじゃないかって思うんだ。わざわざ写真を撮って、あんたに形見として持たせるぐらいだ。
この文書を娘の深緋には知っていて欲しい、そう願って書いたんだろうね」
ひと通りを話し終えると、祖母はソファーから立ち上がった。「アタシが話せるのはここまでだよ」と言い残し、そっとリビングを出て行った。
ローテーブルに置いたままのグラスを手に取り、中身を全て飲み干した。祖母に渡されたメモ書きを茶封筒に仕舞い、深緋はペンダントの蓋を開けた。
お母さんが私に託した文書。お母さんの願い。
幸せそうでもあり、悲しそうでもある母の笑顔。最後に聞いた祖母の言葉通りだとすると、母がわざわざ写真を撮った理由も理解できる。



