「なら問題ないじゃん! なんでそゆコトもっと早く言わないワケ?!」
まあ、そうだけど、とジストは言葉を濁した。
「イェンは船も何隻か所有してるし、船を出す交渉も出来るかもしれないけど……いいの? 余りお薦めは出来ないよ」
イェンというのが、その屋敷の所有者らしい。
「どして? いいよ、何だって。取り敢えずご飯は食べさせてくれるんでしょ?」
「そうだね、追い返されはしないよ。なんたって、ジストさんが居るからね」
お薦め出来ないと言いながらもジストはどこか誇らしげにそう言った。
なんのかんの言いながら、三人の足は既にその屋敷へと向かっている。
話してはいても、もう結論は出ているのだ、三人共。
「……ねえ、ジスト。やっぱり知ってたの? この町の現状」
その言葉にジストは笑顔を作ってみせた。
「なぁーんにも知らないよ。………具体的なコトは、ね」
「じゃ、何を知ってるの?」
何か含みを持たせた言い方にエナが詰め寄ると、ジストは、この二週間ほど、ユーノからの情報が回ってこなかったのだと白状した。

