二人が部屋を出ていくのを確認したジストは手に持っていたフォークを皿の上へと投げ捨てた。
もう一口だって食べたくない。
その様子を見ていたイェンがジストに近づくが、それを掌をひらひらと振って追い返す。
一人にしてくれ、という意思表示にイェンが気付いたかどうかはわからないが、イェンは頭を一つ下げて部屋を退室した。
細かな雨の音だけが広がる部屋の中。
ジストは身動ぎもせずにしばらく冷えきったかぼちゃのスープを見つめていた。
否、其の目は何も映してはいなかった。
しばらくして思い出したように煙草に火を点けてみたものの、一口吸ってすぐに灰皿に押し付ける。
胸のあたりがムカムカしたのだ。
胃の辺りを押さえて、ジストは虚ろな瞳のまま、上品なシャンデリアを仰いだ。
もう片方の手の甲を額に当てて瞼を閉じる。
溜め息に似た呼吸が口から漏れる。
「何故……今更……」
今にも泣き出しそうな声を聞いた者は誰一人居なかった。
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もう一口だって食べたくない。
その様子を見ていたイェンがジストに近づくが、それを掌をひらひらと振って追い返す。
一人にしてくれ、という意思表示にイェンが気付いたかどうかはわからないが、イェンは頭を一つ下げて部屋を退室した。
細かな雨の音だけが広がる部屋の中。
ジストは身動ぎもせずにしばらく冷えきったかぼちゃのスープを見つめていた。
否、其の目は何も映してはいなかった。
しばらくして思い出したように煙草に火を点けてみたものの、一口吸ってすぐに灰皿に押し付ける。
胸のあたりがムカムカしたのだ。
胃の辺りを押さえて、ジストは虚ろな瞳のまま、上品なシャンデリアを仰いだ。
もう片方の手の甲を額に当てて瞼を閉じる。
溜め息に似た呼吸が口から漏れる。
「何故……今更……」
今にも泣き出しそうな声を聞いた者は誰一人居なかった。
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