止まない雨はないと誰かが言った。
夢は永遠ではないと誰かが言った。
雨も夢も虹も。
永遠ではないから、だからこそ美しく、愛おしいものなのだろう。
夢が終わって後に待つのは苦い現実なのかもしれない。
だがそれでも。
夢の後には新たな夢が芽吹いて育つ。
明日が明るいものでなくても、いつか夢は華開く。
それが手折られる日がきても、豊満な大地は新たな種を育てるだろう。
人は希望を抱くことが許された唯一の生き物だから。
七色が描く奇跡に夢を馳せてもいいだろう。
虹から視線を外して彼らを見遣ると、当たり前のように彼らと目が合う。
エナは微笑んだ。
彼らも笑みを返した。
「大好き」とエナは笑みを深くした。

