「………ん……?」
次に気がつくと、そこはゼルに割り当てられた部屋だった。
三人はむくりと体を起こし、互いの顔を見合わせた。
「……なんだ、この殺人的ヘタクソな包帯の巻き方は……?」
ゼルが体をまじまじと見ながら首を傾げた。
ジストが苦笑して、それに答える。
「エナちゃんってば不器用だからー」
「それはあんたが精神的ダメージを与えたからでっ! ……って、あれ?」
血が止まるほどにきつく締められた包帯を解いていくと、覗いたのは適度に日焼けした瑞々しい肌。
傷など何処にも見当たらない。
エナは傷があったはずの其の場所を凝視したあと、跳ねるように立ち上がり部屋を飛び出した。
「雨! どうなった?!」
「ジストさんを置いていっちゃヤダー」
「ああもう! なんだよ、この包帯っ!」
体に絡まる包帯を引きちぎり、ゼルも寝台から飛び降りる。
傷が癒えていることに大騒ぎしながらも彼らは屋敷の外に躍り出た。
そして、同時に空を見上げる。
雲の切れ間からは朝ならではの浅く眩しい光が差し込み、ようやく彼らを安心させた。
「止んだ、な……」
ゼルが眩しそうに目を細めた。
「空か…しばらく見てなかったなー」
目の上で手の屋根を作ったジストが小さく笑みを作った。
「あっ! ホラ見てっ!」
エナが空の一角を指した。
散り散りになっていく雲から覗くのは勿論青空。
そこに架かる虹色の橋。
長く降り続いた雨の恐怖を希望へと染め変える奇跡。
次に気がつくと、そこはゼルに割り当てられた部屋だった。
三人はむくりと体を起こし、互いの顔を見合わせた。
「……なんだ、この殺人的ヘタクソな包帯の巻き方は……?」
ゼルが体をまじまじと見ながら首を傾げた。
ジストが苦笑して、それに答える。
「エナちゃんってば不器用だからー」
「それはあんたが精神的ダメージを与えたからでっ! ……って、あれ?」
血が止まるほどにきつく締められた包帯を解いていくと、覗いたのは適度に日焼けした瑞々しい肌。
傷など何処にも見当たらない。
エナは傷があったはずの其の場所を凝視したあと、跳ねるように立ち上がり部屋を飛び出した。
「雨! どうなった?!」
「ジストさんを置いていっちゃヤダー」
「ああもう! なんだよ、この包帯っ!」
体に絡まる包帯を引きちぎり、ゼルも寝台から飛び降りる。
傷が癒えていることに大騒ぎしながらも彼らは屋敷の外に躍り出た。
そして、同時に空を見上げる。
雲の切れ間からは朝ならではの浅く眩しい光が差し込み、ようやく彼らを安心させた。
「止んだ、な……」
ゼルが眩しそうに目を細めた。
「空か…しばらく見てなかったなー」
目の上で手の屋根を作ったジストが小さく笑みを作った。
「あっ! ホラ見てっ!」
エナが空の一角を指した。
散り散りになっていく雲から覗くのは勿論青空。
そこに架かる虹色の橋。
長く降り続いた雨の恐怖を希望へと染め変える奇跡。

