「?!」
槍が伸びた。と彼らが思ったのは、ほんの一瞬。
咆哮に振り返った先には、口の奥深くに鎖を繋がれた獣の姿。
その鎖は、エナの持つ武器へと続く。
「……ブリューナク……なるほどねぇ」
面白そうにジストがくつくつと喉を鳴らした。
『投げると稲妻となって敵を死に至らしめる灼熱の槍』などと言われてきた本家ブリューナクは、実は生きていて意思を持っており、自動的に敵に向かって飛んでいったとも言われている。
まるでその伝説の再来を見ているかのように、不自然な程短かった三叉の中央が鎖を引き連れて飛んで行き、獣の喉を貫いたのだ。
だが、獣の走行は止められない。
人間相手ならまだしも、この生物離れした獣の命を奪うような殺傷力は、その武器には無かった。
「エナちゃん?!」
獣目掛けて走りこむエナの背に驚いたような声が届いたが、エナの足はもう止まらない。
槍を振り下ろす。
鎖が、ぐん、と縮む。
エナが獣の左横へと滑り込んだ時、獣を護る鉱物の塊が肩を掠めた。
氷水に浸した時と似た痛み。
それと共に鮮やかな紅が宙を舞った。
エナの体から零れた鮮血が床に落ちるまでのほんの数瞬。
その場に不自然な静寂が訪れた。
エナの鎖によって、獣の動きが止まる。
血が床に染みを作る、その刹那。
.
槍が伸びた。と彼らが思ったのは、ほんの一瞬。
咆哮に振り返った先には、口の奥深くに鎖を繋がれた獣の姿。
その鎖は、エナの持つ武器へと続く。
「……ブリューナク……なるほどねぇ」
面白そうにジストがくつくつと喉を鳴らした。
『投げると稲妻となって敵を死に至らしめる灼熱の槍』などと言われてきた本家ブリューナクは、実は生きていて意思を持っており、自動的に敵に向かって飛んでいったとも言われている。
まるでその伝説の再来を見ているかのように、不自然な程短かった三叉の中央が鎖を引き連れて飛んで行き、獣の喉を貫いたのだ。
だが、獣の走行は止められない。
人間相手ならまだしも、この生物離れした獣の命を奪うような殺傷力は、その武器には無かった。
「エナちゃん?!」
獣目掛けて走りこむエナの背に驚いたような声が届いたが、エナの足はもう止まらない。
槍を振り下ろす。
鎖が、ぐん、と縮む。
エナが獣の左横へと滑り込んだ時、獣を護る鉱物の塊が肩を掠めた。
氷水に浸した時と似た痛み。
それと共に鮮やかな紅が宙を舞った。
エナの体から零れた鮮血が床に落ちるまでのほんの数瞬。
その場に不自然な静寂が訪れた。
エナの鎖によって、獣の動きが止まる。
血が床に染みを作る、その刹那。
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