「やってやろーじゃない。中身、硬くないってわかったんだし」
挑発めいた声色でエナはヌンチャクを強く握り締めた。
「あのギザギザが砕けねェもんじゃねえってこともわかったな」
エナの肩に残る黒い破片をゼルが払う。
ゼルの剣が獣と接触した時に飛び散ったものだ。
剣の刃はこぼれていない。
さすがは妖刀エディといったところか。
その事実は彼らに些細だが確かな勝機を見い出させた。
「ジスト、殺さずの契約、今回だけは例外よ」
獣だけを瞳に映して後ろにいるジストに獣を殺す覚悟を伝え、ヌンチャクを再度構えた。
だが、エナの腕を大きな手が掴み、ぐん、と引かれる。
思わずよろめいたエナは首を捻り「何すんのよ!」と声を荒げた。
「?!」
振り返った先で裸の上半身を見つけたエナの頭を、ジストは先ほど迄着ていたニットのノースリーブでがしがしと拭いた。
エナの頭の上に服を乗せたままジストは一歩進み出て、半身だけを振り返らせて銃を二、三度振ってみせた。
「さ、エナちゃんは下がってて。ヌンチャクじゃ無理でしょ」
「だな。お前は高見の見物ってヤツだ」
そしてゼルとジストは目を合わせる。
「調教はあんたの得意分野だったよな」
「勿論。まーかせてっ」
昂揚する気分を隠そうともせずに、二人は口元に笑みを刷いた。
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挑発めいた声色でエナはヌンチャクを強く握り締めた。
「あのギザギザが砕けねェもんじゃねえってこともわかったな」
エナの肩に残る黒い破片をゼルが払う。
ゼルの剣が獣と接触した時に飛び散ったものだ。
剣の刃はこぼれていない。
さすがは妖刀エディといったところか。
その事実は彼らに些細だが確かな勝機を見い出させた。
「ジスト、殺さずの契約、今回だけは例外よ」
獣だけを瞳に映して後ろにいるジストに獣を殺す覚悟を伝え、ヌンチャクを再度構えた。
だが、エナの腕を大きな手が掴み、ぐん、と引かれる。
思わずよろめいたエナは首を捻り「何すんのよ!」と声を荒げた。
「?!」
振り返った先で裸の上半身を見つけたエナの頭を、ジストは先ほど迄着ていたニットのノースリーブでがしがしと拭いた。
エナの頭の上に服を乗せたままジストは一歩進み出て、半身だけを振り返らせて銃を二、三度振ってみせた。
「さ、エナちゃんは下がってて。ヌンチャクじゃ無理でしょ」
「だな。お前は高見の見物ってヤツだ」
そしてゼルとジストは目を合わせる。
「調教はあんたの得意分野だったよな」
「勿論。まーかせてっ」
昂揚する気分を隠そうともせずに、二人は口元に笑みを刷いた。
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