二粒の大きな宝玉。
否、獣の瞳。
「動物愛護団体に訴えられないかな」
「っつーか、こっちが愛護して欲しいっつの!」
真っ黒な獣。
闇の中に溶け込むような漆黒で獣の輪郭も捉えることは出来ない。
だが、翡翠色のギラギラとした瞳と、
銀色の牙の奥に広がる真っ赤な口腔の大きさで獣の全体像をおぼろげながら想像することが出来た。
瞳の位置が、ジストの背丈よりもかるく頭一つ分は高い位置にある。
草地に姿を現した獣は歓喜に満ちた咆哮を轟かせた。
食欲への歓喜だというのがありありと伝わってくる。
「あらー。完璧餌視線みたいよ? ジストさん達」
「あた、あたし、ちっちゃいから食べてもお腹膨れないかと……」
「オレだって筋肉ばっかでパサパサだ! やめとけって、なっ?」
耳を塞いで各々の感想を述べる彼らを獣の瞳がぴたりと見据える。
そして、その瞳が揺らぐ。
「!」
エナ達は立っていた場所から咄嗟に飛び退いた。
瞳が揺らいで見えたのは、風のように速い獣の跳躍が残した残像だったのだ。
「……っ! 何コレ反則っしょ!」
エナは頬に滲む液体を手の甲で拭った。
はっきりと窺い知ることは出来ないが、おそらくそこには深紅の液体が付着していることだろう。
否、獣の瞳。
「動物愛護団体に訴えられないかな」
「っつーか、こっちが愛護して欲しいっつの!」
真っ黒な獣。
闇の中に溶け込むような漆黒で獣の輪郭も捉えることは出来ない。
だが、翡翠色のギラギラとした瞳と、
銀色の牙の奥に広がる真っ赤な口腔の大きさで獣の全体像をおぼろげながら想像することが出来た。
瞳の位置が、ジストの背丈よりもかるく頭一つ分は高い位置にある。
草地に姿を現した獣は歓喜に満ちた咆哮を轟かせた。
食欲への歓喜だというのがありありと伝わってくる。
「あらー。完璧餌視線みたいよ? ジストさん達」
「あた、あたし、ちっちゃいから食べてもお腹膨れないかと……」
「オレだって筋肉ばっかでパサパサだ! やめとけって、なっ?」
耳を塞いで各々の感想を述べる彼らを獣の瞳がぴたりと見据える。
そして、その瞳が揺らぐ。
「!」
エナ達は立っていた場所から咄嗟に飛び退いた。
瞳が揺らいで見えたのは、風のように速い獣の跳躍が残した残像だったのだ。
「……っ! 何コレ反則っしょ!」
エナは頬に滲む液体を手の甲で拭った。
はっきりと窺い知ることは出来ないが、おそらくそこには深紅の液体が付着していることだろう。

