帰り道、雨で濡れた街灯の下、蓮がふっと近づく。
「君って…なんでこんなに揺れるんだろう」

心臓が跳ね、息が止まりそうになる。蓮は私の手に触れそうで触れない距離で、甘く微笑む。

でも、背中の方から悠の声が響く。
「無理はしなくていいんだよ。焦らなくていい」

その言葉に、私はぐっと立ち止まる。理性と安心が、揺れた心をそっと抱きしめる。

家に着いたとき、雨上がりの夜空に月が淡く光っていた。胸の中で、二つの感情が交差する。

「迷うのは当たり前かもしれない。でも、きっと答えは見つかる」

蓮と過ごす瞬間のときめき。悠といる安心感。どちらも手放せない。

私は微笑んで、そっと呟く。

「まだ答えはひとつじゃない。でも、少しだけ、未来に光が見えた気がする」

雨上がりの街の灯りは、私の迷いを柔らかく包み込み、三角関係の未来に、ほんのわずかな希望を落としていた。