同窓会の翌週末、街の本屋さんで美咲は本を手に取ろうとしていた。
すると、隣から声がした。
「その本、面白いですよ。僕も読みました」

振り向くと、穏やかな笑顔の男性が立っていた。
見覚えのある顔……そう、同級生だった。
当時は話したこともほとんどなかったけれど、
今、こうして大人になった姿を見ると、どこか安心感があった。

「……あ、もしかして、中学の頃の？」
「そうです。美咲、ですよね？」

初めて交わす会話に、心の奥で小さな光が灯る。
切ない記憶はまだ胸に残っているけれど、
「新しい出会いも、悪くないかもしれない」
そう思えた。

甘く切ない思い出と、少しの期待。
それらを胸に抱きながら、美咲は自分の人生に向き合う決意をした。
そして、未来に待つかもしれない誰かとの出会いを、静かに楽しみに思うのだった。