——好きだから、手放す。
切ないけれど、それが本当の「応援」なのかもしれない。

彼がいなくなった空の下で、
沙織はそっと深呼吸をした。
少し冷たい風の中に、
颯太の夢の匂いがまだ残っていた。

そしてふと思う。
「いつか、またどこかで会えるかもしれない」
その思いだけが、胸の奥でそっと灯っていた。

帰り道、沙織は小さな決意を抱いた。
ジムに通って体を整え、趣味の読書も再開した。
仕事も前より丁寧に、少しずつやりたいことに挑戦する。

——切ない別れの痛みを抱えながらも、
自分を大切にして、前に進む。

目を閉じると、遠い空の向こうで笑っている颯太の姿が、
少しだけ、未来の私を勇気づけるように思えた。

そして沙織は、自分の新しい一歩に、小さく微笑んだ。
——未来に、きっと素敵な出会いが待っている。