「でも、君とこうして向き合ってると…不思議な気持ちになる」

私は思わず手元のペンを握りしめる。年上で大人な彼に、こんなにも心が揺れるなんて。

「課長…」
「ん?」
「こうして見守られると、なんだか甘えてしまいます」

佐伯課長は少し照れたように目を逸らし、机に手をついた。
「君はまだまだ成長途中だ。でも…こうやって頑張る姿を見ると、応援したくなる」

その距離感に、胸の奥がじんわり熱くなる。
理性では仕事の上司だとわかっているのに、心は素直にときめいてしまう。

残業を終えて、帰り支度をする私に、佐伯課長は静かに声をかけた。
「無理はするなよ。明日も頑張れるように、今日はちゃんと休め」
「はい…ありがとうございます」

深夜のオフィスを出ると、冷たい風が頬を撫でる。
年の差も、立場の違いも、全部乗り越えられそうな気がした。
胸の奥に芽生えた小さな想いを抱えながら、私は少しだけ笑った。
未来に、ほんのわずかな光が見えた夜だった。