私は迷いながらも、小さな決断をすることにした。

「蓮には、今夜の時間を大事にしよう。でも悠には、私の気持ちを正直に返そう」

その夜、蓮と会ったとき、私は笑いながらも言った。
「今の私、まだ全部決められない。だから、少しずつ知りたいの」

蓮は少し驚いた顔をしたが、ふっと微笑んだ。
「わかった。君のペースでいい」

翌朝、悠に会うと、私は少しだけ距離を縮めて言った。
「昨日はありがとう。安心できる時間だった」
悠は静かに微笑み、ぎゅっと手を握った。
「それで十分だよ」

心はまだ揺れている。でも、少しずつ歩みを進められる自分がいる。蓮と悠、二人の間で迷いながらも、自分の心に正直に向き合うこと。それが、今の私にできる小さな決断だった。

夜、ベランダに出て、街の灯りを眺める。迷い道はまだ続くけれど、心の中に、ほんの少しだけ夜明けの光が差し込んでいた。