どうも。私が悪役令嬢に嫌がらせ指導をして、ドン引きされたヒロインです。

 だいたい犯人の目星は、あの方じゃないかって思うけど。
 でも違ったら困るもんね。

 その点教授は困ったことがあったら~って言ってくれてたし。
 お片付け、丸投げしちゃお。

「授業を始めるぞ~、って、おい、何だこれ! 誰だ、こんなもん入れた奴は!!」

 案の定教授は来た途端、大きな声を上げた。
 そして取り出した虫かごを見て、辺りは騒然となる。

 悲鳴を上げる女子生徒や、犯人は誰かと探し始める人たち。
 
 フィリア令嬢たちの方を見れば、顔を真っ赤にしながらこっちらを睨みつけていた。
 ん-。なんていうかなぁ。

 やったのバレバレじゃない。
 令嬢たちが虫捕まえてる姿なんて想像は出来ないけど、基本的に学園内に使用人を入れることは出来ない。

 少なくとも私の机にアレを入れたのは、三人のうちの誰かだ。
 きっと虫なんて好きじゃないだろうに。
 頑張っても空回りしちゃってるし、可哀そうかな。

 今だって、もっと私を追い詰めるならいい方法があるのに……。

 そこまで考えてふと思考が止まる。
 うん……なんていうか、生ぬるい? んー。しょぼいのよね。

 レパートリーも少ないし、インパクトにもかける。
 これじゃ、全然悪役令嬢になってないじゃない。
 
 私が夢にまで憧れた世界じゃないわ。
 
「……あ、そうだ」

 我ながら良いことを思いついたとばかりに、放課後フィリア令嬢たちと対峙することを決め、早々に呼び出したのだった。