翌日から、奇妙なことが学園の私の周りで起こり始めた。

 初めは、上靴の中に入れられた一個の画びょう。
 どこかの掲示物から落ちたのかと、それをロッカーの上に置くと、次の日には上靴いっぱいにこれでもかと画びょうが入っている。

「うん……んー。さすがにこれは……」

 どうしようかと考え、私は辺りを見渡す。
 朝早い学園の下駄箱には、まだ誰もいない。

 そう考えると、昨日の学園が終わってから入れたのか、私が来るよりも前に来て入れたのか。
 どちらにしても、大変だっただろうなぁと、関心する。

 昨日は一個だったから、ロッカーの上に片づけたけど。
 こんなに大量だもんなぁ。
 入れ物探しに行くのもめんどくさいし……。

 うん、そーだ。

 私は自分の上靴をそのままひっくり返す。
 するとたくさんの画びょうたちは、見事に下駄箱の床一面に広がっていった。

「入れた人が片づければいいよね。私のせいじゃないしー」

 我ながら名案だとばかりに、上靴をはいて教室へ向かった。


 その翌日。
 今度は机の中に、小さな虫取り器が入れられていることに気づく。
 
 ご丁寧に教科書たちは、後ろのロッカーに仕掛けた人が片づけてくれたらしい。
 
「んー。どうしようかな」

 昨日が画びょうで、今日が虫かぁ。
 あの画びょうも結構大騒ぎになったのよね。
 何せ、大量だったし。

 まぁ、私のせいじゃないけど。

 机の中から取り出した虫取り器片手に、またふと考える。
 どうしたものか。

 うん、そーだ。

 私は教授の使う机に、そのままソレを突っ込んだ。

「よし!」

 証拠隠滅~。