どうも。私が悪役令嬢に嫌がらせ指導をして、ドン引きされたヒロインです。

 私の言葉に全員が変な顔をしていたが、私は気にすることなく言葉を続ける。

「だってそうじゃないですか。嫌がらせにしては生ぬるい。生ぬるい以上に、下手したら気づかないレベルですよ? まず。どうせ突き落とすなら池とかじゃなきゃ。噴水とか落ちれないし。あ、しかも季節は冬限定ですね。夏はただの水浴びになっちゃいますから。それに画びょう? 典型的すぎですし、威力激よわで却下です。まぁ、一箱分入ってた時はさすがに笑えましたけど。あと、机に虫? あんなのまったく意味なしです。虫入れるならもっと大量にうじゃうじゃっとするとか、せめて毒虫とか?」

 一息に言い切り、まだそれでも足りない私は思いのたけを吐き出す。

「もっとこうインパクトがあって、ああ、これは嫌がらせだーってのにして下さい。食べ物にこっそり毒入れとくとか、トイレで上から水かけるとか。あ、水はその辺のじゃダメですよ。ドロっとした汚いヤツじゃないと」
「……それをやれと?」
「やれとまでは言いませんが、これくらいしないと意味がないってコトです!」

 ふぅ。
 ずっと言いたかったのよね。
 やっぱりこのレベルですら、まだまだだって思うけど。
 令嬢がやるなら、ここらへんが限界かなって思うのよね。

「人としてそれはやってはいけないレベルではないかしら……」
「そうだな。毒なんて盛ったら普通に捕まるぞ」
「命の危機があったらどうするんだ」

 三人共に引いているような気がするのは気のせいかしら。
 おかしいなぁ。そこまで過激じゃないと思うんだけど。