「そうだとしてもです。殿下は最近、あなたの話しかしない。優秀だとか、あの髪色が素敵だとか……」
「その文句はむしろ、私にではなく殿下に言ったらいかがですか?」
「いいえ。わたくしは殿下の婚約者。そんなことは絶対にいたしません」
「ですがそれで私に数々の嫌がらせをなさるのですね」
ダメージは全然なかったけど、なんだかなぁ。
動機がイマイチなのよね。
いや、私の行動がイマイチなのか。
もっとこう、私がトレス殿下に猛アピールしてたらいい感じなのかな。
でも……んー。
問題が一つあるのよね。
なんとなく殿下の顔はぼんやりと覚えてる。
キリッとした眉にブロンドの髪。ヒスイの瞳。
色が白く、背も高い。
ただ残念。もやしとまでは言わないけど、なんか全体的に線が細いのよね。
私の好みじゃないっていうか、正直興味なさ過ぎて顔もなんとなーくしか思い出せないレベル。
どうでもいいことはよく覚えているのに、人の顔と名前を覚えるのは苦手なのよね。
まぁそれはそれとして置いといて。
私が彼女を呼び出した、一番の理由をちゃんと説明しなきゃ。
「噴水につき飛ばしたり、上靴に画びょうを仕込んだり、机に虫を入れてみたり……」
「あなたが全部悪いのよ!」
「そうだとしてもです。全然ダメです!」
「そんなことしていたのか⁉」
私の声と男性の声がかぶる。
私たちはその突然の声に、思わず振り返った。
「その文句はむしろ、私にではなく殿下に言ったらいかがですか?」
「いいえ。わたくしは殿下の婚約者。そんなことは絶対にいたしません」
「ですがそれで私に数々の嫌がらせをなさるのですね」
ダメージは全然なかったけど、なんだかなぁ。
動機がイマイチなのよね。
いや、私の行動がイマイチなのか。
もっとこう、私がトレス殿下に猛アピールしてたらいい感じなのかな。
でも……んー。
問題が一つあるのよね。
なんとなく殿下の顔はぼんやりと覚えてる。
キリッとした眉にブロンドの髪。ヒスイの瞳。
色が白く、背も高い。
ただ残念。もやしとまでは言わないけど、なんか全体的に線が細いのよね。
私の好みじゃないっていうか、正直興味なさ過ぎて顔もなんとなーくしか思い出せないレベル。
どうでもいいことはよく覚えているのに、人の顔と名前を覚えるのは苦手なのよね。
まぁそれはそれとして置いといて。
私が彼女を呼び出した、一番の理由をちゃんと説明しなきゃ。
「噴水につき飛ばしたり、上靴に画びょうを仕込んだり、机に虫を入れてみたり……」
「あなたが全部悪いのよ!」
「そうだとしてもです。全然ダメです!」
「そんなことしていたのか⁉」
私の声と男性の声がかぶる。
私たちはその突然の声に、思わず振り返った。



