なんで私がこんな事を‥‥しかも、自分の出世の為に私を利用した男の為の結婚式の準備をしなければならないのかと思わなくもなかった。
 でも、これは私のケジメ。
 相手がどうであれ、私が計画したプランを行うなら、私が先頭に立って行動しなければならない。そこから逃げたら、これから何処に行っても私は駄目になってしまう気がするから。
 むしろ完璧にこなしてみせる。
 そうする事で、少しでも二人の居心地を悪くなるんじゃないかという気持ちが全く無かったわけじゃないけど、とにかく意地で準備に精を出してた。



 結婚式当日‥‥司会、進行‥‥と、やる事は山積みで忙しかったはずなのに、何をやったかは覚えていない。‥‥と、言うか忘れてしまいたかったんだと思う。
 森岡と真理子は満面の笑みを浮かべながら、バージンロードを歩いている。
 司会席にいる私の前に来た二人は顔を見合わせて笑った。
 「君のおかげで立派な式をあげる事ができたよ」
 「それは何よりです」
 私は笑顔をかえした。

 翌日、私は退職願いを出した。