そんな中、地元企業の社長の娘さんが結婚する話があって、何人かいるプランナーが、どうすれば最高の式になるかのアイデアをそれぞれ提出する事になった。
「‥‥‥‥そうね」
 予算があるので、豪華にすればよいというものではない。
 どうすれば喜んでくれるのか‥‥意外に簡単にアイデアは浮かんできた。
 私なら、どういう式が嬉しいか。その基準で何とかプランをまとめあげた。
私の提出したプランはこうだった。
 この結婚式場は地元に根差してる。社長の娘さんも、相手の方もそうらしい。なので、全てを地元で完結するようにすれば良いのではないかと。
 ドレスと装花を一点もの‥‥世界でただ一つのもので仕立てあげ、それを全て、地元の若手デザイナーやフローリストにお願いする。
 身近な人に祝ってもらっているようで‥‥嬉しいと思ったから。
他にも何人もが色んな案を出したみたいだったけど、私は自信があった。
私が考えたこの計画が採用されれば、昇進の話は現実味を帯びてくる。
そして最高の式にして、彼に見せたい。
いつか私も同じように‥‥。
あの時の私は幸せの真っただ中にいた。


「‥‥え‥‥駄目‥‥だったんですか」
 それだけに、採用されなかった事を知った時の落胆は結構、大きかった。
「うん、悪くはなかったとは思うよ。私も押したんだけどねえ。でも、途中で別の案が採用されて」
 マネージャーも首を傾げてる。
 その採用された案は、彼が出したものだという事が分かって、それでなるほどと納得した。
 彼が考えたものなら、素晴らしいものに違いない、いつか私も彼のようにならなければと‥‥あの時はそう思ってた。