咲妃の胸がドクンと跳ねる。心臓が一瞬止まったような感覚だった。 「え、えっ……そんなこと、ないよ……」 町を歩いていると、突然、変な拝が二人に絡んできた。 「お嬢さんたち、少し付き合ってもらおうか?」 咲妃とお清はすぐに抵抗し、手をつないで走り出した。 咲妃の鼻緒が突然切れ、バランスを崩して転んでしまう。 足首に痛みが走り、冷や汗が滲む。 「いたっ……!」 それでも二人は必死に走り、なんとか人混みに紛れて拝を撒くことに成功した。