私は、少しためらってから口にした。
「美術館で閉じ込められた、二人の物語」
律さんが驚いたように目を見開く。
「それって……」
「そう、私たちの話」
私は続ける。
「大人の女性が、夢を諦めかけていて。でも、ある夜、美術館で運命の出会いをする。そして、もう一度夢を追いかける勇気をもらう」
律さんが大きく頷く。
「それ、いいね!」
「ほんと?」
「うん。俺も、あの夜のことはずっと忘れられないから。ぜひ書いて欲しい」
私たちは、顔を見合わせて笑った。
「じゃあ、来週から打ち合わせだね」
「また、毎週土曜日のカフェで」
新しい物語が、始まろうとしている。
「ちなみに、作品のタイトルはもう考えてるの?」
律さんに尋ねられ、私は首を縦に振る。



