月明かりの下で、あなたに恋をした


『月の見える窓』の原画も展示されている。

窓辺に座る少女。満月。月明かり。

あの日、私はこの絵に導かれた。この絵が全ての始まりだった。

私は、絵の前で立ち尽くす。

「あの夜、この絵に導かれて俺たちは出会った」

律さんが静かに話し始める。

「そして今、彩葉の作品がここに展示されている……すごい奇跡だね」

私は絵に向かって、頭を下げた。

ありがとう、橘マリさん。あなたのおかげで、私は夢を諦めずにいられました。



美術館を出ると、空は薄紅色に染まり、東の空には月が昇り始めていた。

律さんが、私の手をそっと握りしめる。私たちは並んで月を見た。

「彩葉」
「うん?」
「改めて……これからも俺と、ずっと一緒にいてくれる?」

私は彼を見つめた。

「もちろん。ずっと」

律さんが慈愛に満ちた表情で頷く。

「仕事のパートナーとして、そして……」

彼はゆっくりと息を吸い込んだ。

「いつか、もっと深い関係になれたらいいなって思ってる」

その言葉の意味を、私は理解した。

「私も……そう思ってるよ」

律さんが、心底嬉しそうに微笑んだ。

私たちは、近くのベンチに腰を下ろす。手は繋いだまま。

「ねえ、律さん。実は……次回作のプロットを考えているんだ」
「えっ、どんな話?」