『月の見える窓』の原画も展示されている。
窓辺に座る少女。満月。月明かり。
あの日、私はこの絵に導かれた。この絵が全ての始まりだった。
私は、絵の前で立ち尽くす。
「あの夜、この絵に導かれて俺たちは出会った」
律さんが静かに話し始める。
「そして今、彩葉の作品がここに展示されている……すごい奇跡だね」
私は絵に向かって、頭を下げた。
ありがとう、橘マリさん。あなたのおかげで、私は夢を諦めずにいられました。
◇
美術館を出ると、空は薄紅色に染まり、東の空には月が昇り始めていた。
律さんが、私の手をそっと握りしめる。私たちは並んで月を見た。
「彩葉」
「うん?」
「改めて……これからも俺と、ずっと一緒にいてくれる?」
私は彼を見つめた。
「もちろん。ずっと」
律さんが慈愛に満ちた表情で頷く。
「仕事のパートナーとして、そして……」
彼はゆっくりと息を吸い込んだ。
「いつか、もっと深い関係になれたらいいなって思ってる」
その言葉の意味を、私は理解した。
「私も……そう思ってるよ」
律さんが、心底嬉しそうに微笑んだ。
私たちは、近くのベンチに腰を下ろす。手は繋いだまま。
「ねえ、律さん。実は……次回作のプロットを考えているんだ」
「えっ、どんな話?」



